0

LOST MEMORIES Ⅲ

チャールズは1つ息をついた。
「旦那さまは、お嬢さまに何とおっしゃったのでしょう?」
質問に質問で返されたことを不服だと言わんばかりの顔で答える。
「イニシエーションとして、人間界の視察、そして私と同じように西洋妖怪がいるはずだから、その方々と情報を共有しろと。あなたに関しては、ウィザードであることしか聞いていない。」
空気が変わった。
……ほっとしている?
疑問に思う時間は与えられず、チャールズは口を開く。
「まずは自己紹介をしますね。
私の名前はチャールズ=エノワールです。チャールズとお呼びください。旦那さまのおっしゃっるように、ウィザードです。年齢は、お嬢さまのちょうど10個上ですね。」
つまりは26歳。
「私、あなたとは初めましてかしら。」
「ええ、もちろん。」
嘘くさい微笑みだと思ってしまう。
間髪いれず、チャールズは続ける。
「次に、こちらでの生活について答えますね。
お嬢さまには、高等学校生として過ごしていただきます。
今まではメイドや王室教師に学んでいたとは思いますが、存在くらいは知っているでしょう?学校。魔界にもありますしね。
それに、お嬢さまくらいの年齢の方が平日に昼夜私服で出歩くのは、怪しまれかねないので。」
そういうものかと納得してしまう。
先程のやり取りの方が、パプリエールの頭を占めていた。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。