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LOST MEMORIES Ⅶ

目の前に広がるのは夕食。
「何もかも急ですみません。」
チャールズが用意したものだ。こんなに人数の少ないディナーは初めてだ。そして、ディナーというほど大袈裟でもなく。
瑛瑠としては、絵本の中に入ったような気分だった。大人数じゃないことも、味を好評しなくていいのも、マナーを注意するお世話係がいないのも、夕食1つにしてとても新鮮で好ましいものだった。
「いいえ、なぜチャールズが謝るの。」
スープから手をつける。
「もう少し前から説明できなかったものかと……」
ふと、瑛瑠は気になったことを質問してみる。
「チャールズは、イニシエーションを行ったの?」
「人間界に来ましたよ。お嬢さまと似たようなことを言われました。」
即答。しかし、妙な答え方をするものだ。
父のような隙は一瞬もなかった。どうやら本当のようではある。
瑛瑠は口をつぐみ食べ進める。
今度はチャールズが言葉を発した。
「慣れが早いですね。」
言われた意味が理解できない。首をかしげてみせる。
「寂しくはないですか?」
前の言葉との繋がりはまるで見えないけれど、首だけを横に振ってみせる。
「よかったです。」
微笑む。
綺麗な顔だなあと、そう思った。

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