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LOST MEMORIES Ⅷ

瑛瑠が食べ終わるのを見計らって、チャールズは再び口を開く。
「先程も申し上げましたが、明日、とりあえず始業式に出席していただきます。そこで、同じような方を見つけること。ただし、情報云々は考えなくて良いです。魔力持ちを見つけること、人間に馴染むこと。まずはこの2つができれば上出来ですね。お嬢さまを侮っているわけではありませんが、他のことは考えないでください。欲張ると、出来ることさえ出来なくなってしまいます。」
迫力に圧されるように頷く。夕食前に聞いた話だ。
大丈夫、覚えている。
ふっと空気が緩んだ。
「それでは、ここはお任せください。
お嬢さまは、寝るまでの支度をどうぞ。」
微笑まれると、もう従うしかない。
本来、これから活発になるのだが、これもイニシエーションというのだから仕方がない。今までのサイクルを急に昼夜逆転なんて、拷問に近い話ではあるが、耐え抜くしかないのだろう。チャールズも、経験したといっていた。
1週間のうち、2日間は休みだと話していたか。10年前のイニシエーションの内容を、時間をかけて聞く必要があるなと考えた。
カーテンを閉め、部屋にあるものを大まかに把握し、シャワーをあびてから、チャールズから聞いた準備というものをする。それが、制服と鞄。相変わらず軽くて薄い衣類なのだが、それ以上にスカートの丈が短いことに驚く。ハンガーに吊るす。やはり、やったことのないことばかりだった。
メイドは私の身の回りのことをここまでやっていてくれてたのね,と感心してしまう一方、こういうことがなければ、私は他の暮らしを、文化を知らなかったのか。そう、うすら寒い思いがする。初めて、通過儀礼的だと思った。

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  • PS;瑛瑠のいう鞄とは、いわゆるスクールバッグというもので。マンガの高校生がよく持っているあれですね。
    今の高校生が鞄1つで登校できるほど荷物が少ないのは重々承知しております。
    ただ、画という関係がありまして。そっちの方がかわいい。それだけですが、これに勝る理由もないと思っております。
    私の中の可愛い女子高生像を描きたかっただけといえばそれまでなのですが、今時の高校生スクバなんて持たないという私もいたので、ここで私のジレンマを明かしておこうと思った次第です。笑

  • PS+
    わあああすみません泣 なんてことでしょう。
    今の高校生が鞄1つで登校できるほど荷物は少なくないのは重々承知って伝えようとしたんです!
    現役高校生のみなさん、ごめんなさい…決してバカにした訳じゃないんだ…打ち間違いなんだ…。
    仮にも経験した身だからわかるよ…。
    本当に失礼しました。気付いてよかったです(涙)