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LOST MEMORIES ⅩⅠ

本を閉じ、眼鏡をはずす。
「良い言葉?」
「はい。それは"いただきます"です。
この国では、食べ物や作ってくれた人への感謝の気持ちを表すそうですよ。
食べ終わったら"ごちそうさまでした"。
ね?良い言葉でしょう?」
瑛瑠も微笑み、頷いた。
「いただきます。」
チャールズはソファから腰をあげ、瑛瑠の前の椅子に座る。
瑛瑠は食べつつ、チャールズに聞く。
「昨日もだったけれど、あなたは食べないの?」
「はい、とりあえずは。」
そう言ってコーヒーを口にする。
瑛瑠はまた聞く。
「さっきの言葉、教えてもらったの?」
「ええ、そうですよ。」
「誰から?」
「友人から。」
「この国の?」
「もちろん。」
へーともほーとも言えない音を出す。そうして、ふと手元の料理をみる。
「……美味しい。上手だよね、チャールズ。」
「ありがとうございます。」
微笑むチャールズに、瑛瑠は言う。
「私にも教えてほしい。」
チャールズは不思議そうにする。
「ご飯は私が作りますよ?」
瑛瑠は首をふった。
「興味があるの。何か、作ってみたい。」
「そういうことなら。」
チャールズはおかしそうに笑った。
よくわからないけれど、笑われたということに関して頬を膨らませる瑛瑠。
「どうして笑うの。」
「可愛らしいと思っただけですよ。」
「からかわないで!」
横を向いてしまった瑛瑠に、今度は困ったように微笑うのだった。

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