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LOST MEMORIES ⅧⅩⅦ

「何か、悩みはありますか?」
この、ほぼ軟禁状態だった2日間、学校であったこと、調べたことを、細かいところまでチャールズに報告していた。瑛瑠だけでは意図を図りかねた他人の言動など。例を出すなら、鏑木先生の性格を加味した上でのあの発言だ。
たしか、それを教えてから、チャールズは外に出てはいけないという2日間命令を出したはずで。鏑木先生が瑛瑠を見て何か思ったのかと思いつつも、人の体調不良を予言できる人がいようか。
そんなわけで、瑛瑠の中では出し尽くした感があった。だからこそ、ここで可愛いげのない回答をすることも容易だったのだ。イニシエーションについて、共有者について、ヴァンパイアの彼について。しかしそれは、チャールズの厚意にそぐわないのを知っていた。
だから、大丈夫だよと言おうと思ったのだが、ぶつかったチャールズの視線にそんなことは許されなくて。
そうして沸き上がってきたひとつのこと。
「お嬢さま?」
「ねえ、チャールズ。」
姿勢を正す。
「チャールズは恋をしたことがある?」

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