「これは爆弾ではありません」
「......は?」
Dにはその意味が暫くわからなかった。
「何をいっているのだ、こんなに大騒ぎをして、それは爆弾ではなかったというのか!」
「じゃあ、私たちは偽物の爆弾に踊らされたってこと...?」
Sも当惑した表情で小さくそう言ったが、この運転手は首を縦に振らなかった。
「確かにこれはダミーです。がしかし、これには発信器が付いています」
そう言うと、運転手はひどく怯えた表情になって再び言った。
「そしてこの発信器は、半径一メートル以内の物としか電波を交信できません。そしてその対象物は...」
そこで言葉を切ると、運転手はスウッと息を吸い込み、こう言った。
「それは、明らかに爆発物です」
黙って話を聞いていたDは、その言葉にひどく恐ろしくなった。それでは爆弾はまだ解除されておらず、しかもこの近辺にあるというのか...?!
「あの残り時間の数字は、その爆発物が爆発するまでの残り時間です」
「あり得ない!この車の近辺はくまなく探したはず。何処にもそれらしきものは...」
そのとき不意に、隣に停めてあった車の後方から、小さくパンッと何かが弾ける音がした。
その瞬間、Dは思い出した。この隣の車が駐車してきたときに、どこか見覚えがあると思ったことを。この車を何処で見たか。それは確か...。
「首長官邸だ」
Sと運転手がぎょっとした顔で振り向く。その瞬間、Dは激しい光と音に包まれた。
短編ならではって感じですね…。
よかったですよ、お疲れさまでした。
私の書き方とはまた違うので、おもしろかったです。
掲示板の書き込みみつけました(笑)ありがとうございますね。なんだか嬉しかったです。
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三行ポエムも好きですよ、めめんとさんの作品。