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LOST MEMORIES CⅩⅣ

少女は透き通った瞳で見つめ返し、頷いた。
ふと、母の手首につけられたブレスレットに触れる。
「これ、綺麗……。」
母は微笑む。
「これはね、ママを守ってくれるもの。本当は、パプリのパパのものなのよ。」
「ママのはないの?」
「ママのはパパが付けているわ。」
「どうして?」
ふふ,と悪戯めいた瞳は少女をいとおしそうに見つめている。
「それが、愛しているという証だからよ。」
わかったような、わからないような表情を浮かばせる少女の額に、母は軽くキスを落とす。
「もちろん、パプリのことも愛しているわ。」
「パプリも、ママのことが好きだよ!」
もう一度抱き締め合い、母は少女を離す。
「さあ、出掛ける準備をしましょう。お昼までには戻りましょうね、今日はサミットの集まりがあるから。」
サミット? そう、不思議そうな顔をする少女。
「パパの大事な話し合いよ。ほら、大人の人たちいっぱい来ていたでしょう?今回は、パプリの国が会場なのよ。お昼から始まるのよ。」
「もう来ているの?」
「ええ。目には見えないルールみたいなものがあるのよ。」
柔らかく微笑み、改めて準備を始めた。

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