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LOST MEMORIES CⅩⅤ

「も、もうっ……!お昼までにはお戻りくださいね!」
「わかっているわ。」
慌てているメイドと楽しそうな母親を、少女は交互に見る。
「リヴィ、お出かけかい?」
低いその声の持ち主は少女の父。
「だ、旦那様!」
「ええ、お昼には戻ってくるわ。」
「あんまりメイドを困らせるんじゃないよ。」
苦笑しながら近づいてくる父に、メイドが旦那様もです!と言っているのを少女は目の端に見ていたけれど。
「パプリのこと、よろしく頼むよ。」
「はい、あなた。」
軽くキスを交わし、父は少女の頭をくしゃっと撫で、戻っていった。どうやら、偶然通りかかっただけのようだった。
「行ってくるわね。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
最終的に笑顔でメイドは送り出してくれた。

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