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LOST MEMORIES CⅡⅩⅤ

自分の名を呼ぶ、悲痛な叫び声。
「パパ!」
少女の父と、大人たち。強く抱き締められるも、すぐ離れる。
「ママはどこだ。」
この質問には、少年が指を指して答える。
「あっちです。」
王は頷き、少年へ尋ねる。
「君はヴァンパイアの第一王子かな?」
少年は目を丸くして はいと応えた。
王は少年の頭をくしゃっと撫で、
「恐かったね。パプリを守ってくれてありがとう。もう大丈夫だ。」
と言う。
振り返り、行くぞと声をかける。
「待ってパパ!危ないよ!」
少女は止めるも、首を横に振られる。
「国民を守るのが王の務めだ、パプリ。それに、エルーナくんのご両親もいる。助けにいかないと。」
涙が頬を伝う。
「パプリはっ!」
後ろから少年が叫ぶ。
「パプリは僕が守るから!」
王は瞳に強い光を宿して頷き、少年に言う。
「頼もしい王子だ。」
マントを翻して中へ進んだ。

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