(君はあの頃の君のままだから今の僕も愛せるよね)
僕はそのことを知っている。
だから時々地上の僕が憎らしくなった時は少しは昔の僕らしくならないかなと少しは思ってしまう。
でも計画してた通りにはいかずに強くなりすぎてしまったあの性格は、前世が呆れるほど弱すぎたためだ。
だから今度は強くと僕が天上界にいるときに決めてそういう風に育つように仕向けた。
地上にいることになってる僕が自分自身で決めたことなんだ。
諸刃の剣のように見えることもあるけど、
ヒーローになれるように、たくさんの人を幸せにできるようにと決めてきたあの強さに僕はかけているつもりだ。
君はそうこうしているうちに、部屋の片付けを終えていた。
(この世で会うはずの約束が果たされることがありますように)
ついさっき僕が語った言葉を気にしてからか、部屋の中央にあるイエスが父と呼んだ神の像の身前で静かに頭をたれる。
どうして会う約束を覚えてないのにそんな言葉が出てくるか僕は不思議だった。
(私も会いたい)
君の思いが届く。
君がかつて聖母マリアに祈っていた背中がだぶって僕は目を閉じた。
僕らは何百年も前のあの朝の続きを今も生きているんだ。
ーーどうか神様。