5

LOST MEMORIES CⅢⅩⅢ

少し乱暴に、ぐいっと抱き上げられた。パプリエールは、このような扱いをこれまでに受けた記憶はなく、少し戸惑った。また、まだ少女のような面持ちの彼女に、このふたりは相当な重荷だろうことが理解できた。
そして、先の言葉はジュリアなりの気遣いのように思えるのだった。口数が少ない方だと、やりとりから容易に想像することはできた。そんな彼女が、たぶん一番口を開いたのが先の言葉。
乱暴にされたのではない。丁寧に扱われ過ぎたお姫さまを、姫ではなく大切な人として格上げされたのだとパプリエールは感じた。その姿は、先の彼に重なった。
ジュリアの背には黒翼。ばさっとその翼が羽ばたき、風が起こる。地面から足はもう離れていた。
「姉ちゃん何してたの?どうしてここに来たの?」

  • LOST MEMORIES
  • 遅くなっちゃってごめんなさい。
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。