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LOST MEMORIES CⅣⅩⅠ

「レイの力なら、それを持ち上げることくらい朝飯前でしょ!
それを、外に、投げて!早く!」
レイは頷いた。石の上から飛び降り、それを撫でて集中する。
パプリエールは、ジュリアを見上げた。チャールズが優秀と言っていたこのお姉さん。パプリエールなんか及ぶわけもない力をもつと、間近で見ていて強く感じた。ひどく頭が切れる。
すぐそこで大きな音がした。思わずつむってしまった目を開けると、
「あとはお前の番だぜ、ジュリ!」
誇らしげに笑うレイと、雪を覗かせている穴。すぐ下にあった大きな大理石はない。
パプリエールは、抱き締められる力が強くなったのを感じた。そして、ジュリアの翼が大きく羽ばたく。
前からの強い風圧から守られながら、白が広がっていく。
「目の前すべてが白くなったら、逃げる。後ろは振り返っちゃ駄目。
必ず、逃げ切って。」
ジュリアがふたりに囁く。パプリエールとエルーナは頷いた。
「いい子。」
その直後、2回目の浮遊感と、目の前に白が広がった。
*

  • LOST MEMORIES
  • 夢、おしまいです。
  • また、もとの日常へ。
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