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LOST MEMORIES CⅣⅩⅨ

「綺麗な顔が台無しだよ。」
「だとしたらお嬢さまのせいです。」
「あら、私ってば罪な女ね。」
こんな軽口により、だいぶチャールズは目を覚ましたらしい。
ずっと隣にいて瑛瑠の身を案じていたのだろう。彼は疲労困憊に違いなかった。その上、心配も先走っていた。もっと早く気付くべきだったなと少し反省してみる瑛瑠。
夢のことはあとででいい。
チャールズを早く休ませることを優先に、これからの動きを軽く組み立てる。
「もう万全なので、今日は学校に行きます。ちょっと寝過ぎちゃったので、もう学校に行くまで起きています。遅れた分の授業、取り戻さないとね。夜明けまでまだ時間があるし、外へは出ないし、家の中は安全なので、チャールズは休んでください。
私が眠っている間、ずっと看ていてくれてどうもありがとう。」
自らの確認のために、声に出してみた。チャールズに微笑んでみる。
すると、やっと今日初めて微笑んでくれた。
「顔色も良くなって、本当に良かったです。二日眠っただけありますね。
本当に心配しました。心臓がいくつあっても足りないので、無理をすることはもうやめてください、金輪際。」
「金輪際。」
思わず復唱してしまう。
微笑みとともに、嫌みも忠告も置くことを忘れない。
「本当は、ベッドに縛り付けてでももう一日休ませたいところですが、顔色とその元気に免じて登校を許可しましょう。」

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