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フィクション

人に別れを告げない世界
別れが多すぎるが故に、悲しくならぬように苦しくならぬように、最後の姿に縋らぬように
さよならだと分かっていようと
大切な人ほど別れを告げずに去っていく
あなたが私を忘れますように
できるだけ悲しくなりませんように
願わくは生きて 生きていて

いやだ

彼の後ろ姿はこの身を焼き切るにはあまりに十分すぎた
さよならも言わないあなたが
泣くこともできないわたしに
唇にあたたかいものが触れた
それが
初めての別れの痛みだった

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