暑くなり始めた6月の夕飯時
となりには特別な君がいる
少し動けば肩がぶつかる狭い店
飲み口のいい冷たい飲み物
火をつけたそれを欲しがる君に
「やめたんじゃなかったでしたっけ?」
なんて言いながら差し出す私
なんてことない顔して
実はさっきから心臓がばくばく言ってるのよ
夢みたいで、大切な現実の思い出
君がとなりにいるだけで
「箸の使い方は」
「咀嚼する音聞こえてないかな」
「今すごい大きい音で飲み込んじゃった」
ただ君がとなりにいるだけなのに
僕は食事はおろか、息をすることさえままならない
いろんな言葉を交わしたのに
いろんなものを食べたのに
もう何1つ覚えていない
覚えてるのはただ、
食事の時は眼鏡を外す君と
光る君の薬指だけ
私の夏はたったそのふたつ