教室に入ると、前の席には鞄が置かれてある。歌名の手伝いへ行ったのだろう。歌名の席にも、ストラップがついた彼女のであろう鞄が置かれてある。自分も手伝うと申し出たらよかっただろうかと席につきながら思う。
登校時間は比較的早い瑛瑠だが、本を読んでいる彼はそのさらに前についていたのだろうことが伺える。
瑛瑠は鞄だけ机の上に置き、彼の隣の席を借りることにした。
「おはようございます。」
声をかけると、ここへ瑛瑠が来ると見越していたように、驚くこともなく読みさしの本を閉じてしまう。
「おはよう。体調は?」
「お陰様で。……邪魔をしてしまってすみません。」
英人は僅かに首を振った。
「あの、お借りしていたリングはネックレスにして持ち歩いています。ありがとうございます。このまま私が持ち続けていてもよろしいんでしょうか?」
瑛瑠が確認として聞くと、何を今さらと微笑う。
「勿論。持っていていい。」
やはり余裕そうな彼だが、心配は拭えない。
「何かアテでも……?」
すると、ぴくりと形の整った眉をあげる。
「聞いてないのか?」
何を、だろう。
こんな質問をされるくらいだ、聞いていないということだろうと思うが、生憎何のことか見当がつかない。
英人は苦笑して、
「ごめん、聞かなかったことにして。」
なんて言うものだから瑛瑠は不貞腐れる。
「何のことですか。」
「そのうちわかるから。」
やっぱりこいつ、気に食わない。
エルなんか苛ついてない…?
軽いだけの望なんかよりキリのがよほど頼りになるし恰好いいと思うんだけど…
シェアさん》
そう見えるような描き方であったのなら、私もまだまだですね…機嫌は悪いっちゃ悪いですけど、ご機嫌斜め程度です(笑)
瑛瑠ちゃん自身が王族として自分の力を自負しているため、プライドが高いんですよね。あまり表には出してきませんが。それを、余裕そうにしている彼はきっと自分よりも出きるのだろうという思いからくる嫉妬ですね。悔しいんです、彼女。だから、好んで協力を仰ぎたくないって気持ちで。それを言ってしまうと望に対してはどうだということになってしまうのでノーコメントでお願いしたいのですが、思春期って難しいですから…。英人くんを嫌っているわけでは決してないです。
精進します(笑)