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黄紅葉

嗚呼 夏が過ぎ去りて
秋の香薫る清涼よ
貴方の元へと舞い戻りたいと存ずるけれど
もう秋の風が吹く頃ね 貴方ももう忘却の彼方

春の濡れた羽衣は 乾いたけれど
この想いは夜長想いても尽きぬ
されどもう運命の歯車は回ることを知らぬまま
もう報われる事なきと分かっていても
とめどなき秋の川

かの方と過ごす夜が芋名月など
なんのご褒美であろうか
私は貴方の名月でありたく
かの方の名月ではござらん

嗚呼貴方は黄紅葉
我のことなど秋風の刹那でしょう
秋水に手を浸し 仰ぐは秋高し
ひとたび貴方と二人紅葉見
それももう夕紅葉となりにけり

嗚呼 天高く馬肥ゆるこの頃
夜半の秋に見るは錦紅葉
我 秋波を身に纏い
貴方と二人 中秋の名月身を重ねて
月の日に重ならぬことを祈り
秋暁を貴方と迎え
そんな紅葉の賀を貴方と開きたいと存ず
されど それは儚き月の迷い夢にござり
まことは悲秋であった


貴方の元へと歩み紅葉を散らす我
黄紅葉と紅葉 互いに寄り添いたきにけり
そして秋旻を見上げ 花紅葉誇る野山の錦

嗚呼 この世で我の願い叶わぬのなら
彼岸で貴方ともう一度巡り会いたき
彼岸の夕暮れ 夕日に祈る 我と貴方の幸を
もう────秋水に身を委ねる時でございます
貴方を 彼岸の向こうからお慕いいたします

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