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LOST MEMORIES CⅦⅩⅠ

「瑛瑠さん、仕事残ってるから先行っててくれる?」
望に指定された放課後が来た。瑛瑠が準備を終えて声をかける前に、申し訳なさそうな顔をした望は、振り向きこう言ってきた。
ちなみに、食べ損ねた昼食は、6時限目、7時限目の前の10分休憩で食べ終えていた。
「お仕事、手伝いましょうか?」
瑛瑠の問いかけに、首を振る望。
「すぐ終わるはずだから。大丈夫。」
「わかりました。頑張ってください。待ってますね。」
元々行くつもりはなかったが、都合がいい。こちらでの狐の存在について、少し調べてみよう。
そんなことを片隅に置きながら、教室を出る。
「瑛瑠?」
後ろから聞こえてきた声は英人のもの。
「帰らないのか?まだ本調子じゃないだろ、送ってく。」
瑛瑠は苦笑して応える。
「先客がいるので。」
英人は少し目を見張った。
「歌名か?」
そして申し合わせたかのように出てくる歌名。
「瑛瑠ー!一緒に帰ろ!」
瑛瑠は苦笑いを重ねる。
「ごめんね、これじゃあトリプルブッキングになっちゃうよ。」
英人と歌名は顔を見合わせた。

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