「 "哀愁" とは塩のようなものだ 」
どこかの小説のページで見た、その台詞が
栞をはさむように、頭から離れなかった。
季節の変わり目
乾燥しはじめた空気
色づいた葉が風に舞う、くもった日
親子と恋組らで賑わう公園に
ひとり、木製の茶色いベンチに腰掛けた
「あたたかくて、しあわせそうだな」
そんなことを思いながら
頬張った、コンビニおむすび。
片手には、あの小説を携えて。
あのページを探しながら、黙々と
おにぎりを頬張って
あの台詞の意味をひたすら考えていた。
たまにはこんな日も悪くない。