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女心と秋の空[4]

 すっかり落ち込んだ雰囲気になってしまったダイニング。このままではまずい、そう思ったケンジは、奥の手を出すことにした。
「ナナ、ごめん。忘れてた訳じゃないんだ」
「......」
「ほら、今日帰りがけに九天堂のプリン買ってきたからさ」
「ホント?!」
 ナナミはうつむいていた顔を突然ガバッと上げた。思わず仰け反る。
 女心は変わりやすいもんだ。記念日を祝うには一ヵ月は短すぎる、と言ったが、これだけの感情の「変化」があれば、実はそう短いもんではないのかもしれない。少なくとも、彼女にとっては。
 満面の笑みでプリンをぱくつくナナミを見ながら、ケンジはそんなことを考えるのだった。

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