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無題

キスをする時 目を閉じてしまうのは
きっと貴方を信じきれていないから

私の瞳を綺麗と褒めてくれる時
貴方はその底を透かすような
そのくせ手前で拒むような
そんな目の遣り方をする

電話をする時 声を低めてしまうのは
きっと貴方を信じきれていないから

高校生の頃 私の声を聞いて
もういない人の名前を呼んだこと
随分と昔のことだけど
私は未だに笑い飛ばせない

透き通った白い肌
アーモンド型のお目目
桜色のお口が ゆるりと弧を描いて
そこから零れる鈴の音色

柔らかい掌で
頰を摩ってもらうのが好きだったこと
花の香りの腕の中
微睡む午睡が好きだったこと

みんな みんな 知っているのよ
だって私も大好きだった

だけど

疲れた貴方が私の掌へ甘える度
腕の中へ潜り込む度
私は ほんの少しだけ あの人が嫌い

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