瑛瑠はひとり、ホットミルクの入ったカップを両手で包み、ぼーっとしていた。
話しているとき、チャールズは顔色ひとつ変えずに耳を傾けていた。今はといえば、ちょっと待っていてくださいと言って部屋を出たきり戻ってこない。チャールズのちょっとの幅は一体どれだけなのだと思わないでもなかったが、話し込みすぎて疲れてしまったので、瑛瑠はぼーっとしていたとなるのだけれど。
瑛瑠の話の間、チャールズは真剣ではあったものの、いつも通りの――最近は表情豊かであると感じることもあるが――何を考えているのか上手く察することの出来ない顔をしていた。ああ、いつものチャールズだ,そう感じるも、自分の踏み込んで良い領域ではないのだとも理解してしまい、少し寂しくも思ったり。 ふと時計を見ると、11時を回っている。時間を意識しない夜は流れがはやいものだと思う。
「すみません、お待たせしました。」
「……何をしていたの?」
じっと見つめるも、ちょっと,と答え曖昧に微笑むチャールズ。
瑛瑠はひとつ息をついた。