「じゃあ、あとはもう普通の質問に移れる。」
眉を下げて微笑う瑛瑠に、チャールズも微笑んだ。
普通かどうかと問われれば普通ではないのだが、瑛瑠が心を痛ませることがないという面で普通だ。
「まず、10年前に何があったの?」
答えはない。どこまで答えても良いかの思考時間だろうか、はたまたこの事に関して話す気がないか。
「質問を変えるね。ジュリアさんは、チャールズよりも年下よね?」
「……はい。」
チャールズは不思議そうな顔をするもyesと答えた。言質はとった。
「私の予想なのだけれど。」
そう前置いてチャールズの目をしっかり見つめる。
「10年前に、何らかのプロジェクトがあった。それは、狐が絡む何か。そのプロジェクトのメンバーが、チャールズを含む人間界送りの同級生たち。条件は成人になる者、とかかな。ジュリアさんはそこまで達していないけれど、能力があるからヘッドハンティングされた。私の夢から、みんな王族関係者か地位のある方々だと思うの。」
瑛瑠はチャールズから目を解放する。
「さっきは伏せていたのだけど、私はチャールズをお兄ちゃんと呼んでいた。」