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LOST MEMORIES~番外編Ⅱ~

真っ先によぎったのは、何かあったなという確信だった。
いつもより早い時間に帰宅する瑛瑠は、制服を着替えず、リビングのテーブルに大量の紙を重ねあげていた。スカートのひだが崩れるのもお構いなしに座っている。
チャールズは彼女へ、とりあえずお帰りなさいと声をかけた。
「今日はどうなさったんですか。」
乾いたホチキスの音が響く。
ただいまと言った彼女は顔を上げずに、友人の手伝いだと話す。
「あまりに忙しそうだったから、手伝いを申し出たの。書類とじなのだけれど。」
チャールズはすっかり慣れた手つきでコーヒーを入れる。そして、いつもより覇気のない、愛しいその声に耳を傾けた。
「みんなと一緒にやろうと思ったんだけど、教室も図書室も使えないから、これを借りて家でやろうと思ったの。」
ホチキスをちらつかせた瑛瑠の声は、やはりいつもより暗くて。
彼女が帰宅してから、やっとかち合った瞳。
ああ、もう。彼女も、こういう顔をする子だ。
チャールズは2つのコーヒーカップを、離れたい位置に、丁寧に置いた。書類にかかってはいけないから。
そして、後ろから瑛瑠をふわっと包み込む。瑛瑠の体が強張るのを感じた。
違う、怯えさせたいわけではない。
「ち、チャールズ!?」
「珍しく感傷的みたいですね。」
驚いたことで悲鳴に近いものをあげる瑛瑠に、努めて茶化すように言う。
その顔を見るのは辛い。どうか、笑って。
瑛瑠の体から、力が抜けたように感じた。瑛瑠を包み込むその腕に、少し笑って彼女は手を添える。
「ちょっと寂しかった。ずっと独りだったはずなのにね。」
胸が締め付けられる想いだった。思わず顔が歪む。
さて、そんなことはいさ知らず、瑛瑠は顔を上に向け、チャールズの瞳を見つめてくる。
「ね、ぎゅってしてもいい?」
悪戯っぽいその眼に苦笑する。そういうところだと言いたい。
どうぞという返事に、彼女は嬉しそうに、そしてはにかむように微笑んで、照れ隠しの意味もあるのだろうが、立ち上がると勢いよく抱きついてきた。
あったかい。くすりと笑って放たれた言葉に、既視感を覚える。
ほら、スカートにはすっかり皺がついてしまっている。
願わくば、彼女が笑顔でいられますように。
自分の罪を贖う術を想いながら、今度はぎゅっと抱き締めた。

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  • いやあヤバイぞこれは。思わず二三回読み直してしまった...。
    好きだよこういうの。うあーーーーってなる。

  • 今日この物語を見つけて、読ませてもらいました!!
    夢中になってここまで読んでしまいました
    続きを待ってます!!

  • レス見落としてた。

    いや、あの、うれしい。なんか、うん、うれしい。(語彙力metoo)誉められんの苦手なんだよなあ

    ホッチキいじってたら「ガチャン!」って音がしてなんだ?!って思ったら人差し指に銀色の線が。いぶかしげに引っ張ってみて初めてホッチキの針だと気がつく。ああ言うのって案外いたくないもんなのな。血めっちゃ出たけど。w

    危ない文房具多いから気を付けないとね(←不器用)

  • めめんとさん》
    ふふふ、とっても嬉しい(笑)
    この話、ほんとはもっと長かったんです。この掲示板にいて初めて、文章が長すぎますという赤字が現れたの。びっくりしちゃった笑
    頑張って短くしてこう(笑)ちょっと力作です。

    あ、気付いていただけた笑
    めめんとさんもガッチャン経験あるのか。私は痛かった(大真面目)。はさみ、カッター、よもや紙から攻撃を受けたこともある。文房具危ない。

  • みどりーぬちゃん》
    いやもう、とっても嬉しいです。なんでこう、みんな私を喜ばせるの上手いかな(笑)
    長い長いこれまでの話を読んでいただけるなんて、むしろありがとうございます。まとめもね、最近のやつ更新されなくて、遡るのも一苦労だよね…うう、嬉しい、ありがとう(*´ー`*)