毎朝変わらずに
決まったことばかりして
満員電車に揺られて
決まった駅で降りて
決まった事をこなして
ただ帰ってくるだけ
雑踏に紛れて
今日も俯いて歩く
笑い声
煙草の匂い
舌打ち
ハイヒールの音
飲み込まれてく
影の私
───本日は通常時よりも電車が混雑しておりますので、できるだけ空いた車両にご乗車ください
空いた車両なんてどこにも無い
落ちこぼれたならブザーの音
余裕なんてありやしない
踏切の音は私を急かし
自転車は後ろから追い越していく
ふと見上げれば
群青色
半分欠けた黄色い月と
散りばめられた儚い星
嗚呼
空なんて
見上げたのはいつぶりだろう
あの月は
半分欠けているのか
それとも
半分残っているのか
聞いてみる術なんて
どこにも無くて