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LOST MEMORIES ⅡCⅦ

まさかそんな言葉が返ってくるとは思わず。
「どういうことですか。」
緊張した空気に、お互いが口を開きかけたとき。
「お待ちどうさまです。」
注文していたコーヒーと紅茶が運ばれてきた。
ふっと空気が浮上する。
「ありがとうございます。」
図ったかのような良すぎるタイミングは、ふたりにとってありがたかった。あそこで話を進めても、混乱を極めるだけだったろう。現に、ふたりとも混乱しているのだから。
「余計なお世話かもしれないけれど、」
口を開いたのは、あろうことか店員のお姉さん。
丁寧にコーヒーと紅茶を置き、ふたりに微笑みかける。
「これで伝わるだろうなんていう驕りはしない方がいいかな、特に男子くん。女の子も、高圧的な態度はタブーね。最後まで話す気がないなら、お互いに思わせ振りな発言はNGよ、特に男女間ではね。」
可愛らしい笑みをたたえ、ウインクを残してカウンターへ戻る。
大人の女性って。
「……どこかで、彼女を見たことはないか?」
浮上した空気はそのままに、英人が尋ねてくる。
「私も、思いました。でも、思い当たりません。」
ふたりは、あたたかいカップを手に、会話を再開する。

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