瑛瑠は唸る。
「その報告書に、プロジェクトの内容は記載されていませんでしたか?」
もちろん、されているだろうけれど。
期待を込めた目で見つめると、たいそう居心地悪そうに、透き通った黒を逸らされた。
「何かの監視ということしか……。あの馬鹿みたいに大量の紙を読む気にはなれなかった。」
すごく優秀だという型を文字通り彼に当てはめていた瑛瑠は、呆気にとられる。てっきり、全てを読み込んで暗記しているとでも思っていた瑛瑠は、悪かったなとわかりやすくそっぽを向いてしまった英人を笑わずにはいられなかった。あまりにも人間的である。
「あなたでもそんなことがあるんですね。てっきり全て読み込んできたのかとっ…ふふっ……。」
止まらない笑いはお互い新鮮で。
僕はコンピューターか何かか,なんて言って英人もつられて吹き出した。