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LOST MEMORIES ⅡCⅩⅦ

さて、落ち着きを取り戻したふたり。先に口を開いたのは英人だ。
「何を監視していたのか、それがわかれば過去のプロジェクトに近づくと思う。
その報告書、10年前のだけ、量がいやに少なかった。抜き取られていたんだろう。その最後の年のを読んだために、詳細がわからなかったってことでもあるんだが。」
ぬかりはないはずだったのだ、そのページが存在してさえいれば。確かに、最後の年を見るのが普通というものだろう。
「私の夢に従って考えるのであれば、監視対象は狐と考えるのが妥当かと。」
「まあ、そうだよな。」
少なくなった飲み物を見つめたまま、とうとう煮詰まってしまった瑛瑠は、英人に声をかける。
「ここまでだけでも、大収穫ではないでしょうか。
英人さんとお話しできてよかったです。
だから、今日はもうこの話はおしまいで。そのかわり、残りの時間を私にくださいません?」
祝瑛瑠、こういうところである。
微笑んで言い放つことには。
「英人さん、デートしましょう。」

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