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LOST MEMORIES ⅡCⅡⅩⅠ

夕焼け。一番星が、すでに姿を見せている。
送っていく。そう告げた英人の横には、恨めしそうに彼を睨む瑛瑠。
なんとなく、予想はしていたけれど。だからこそ、注意深く彼を見ていたのに。
一切の隙がない英人。
「一体いつお会計を済ませたんですか!」
彼女の納得いかない事とは、まさにこれだった。
「私から誘ったのにそういうわけにはいきません。せめて自分の分は払わせてください。」
一方の英人は煩わしそうに顔をしかめている。
「どこに、後になって女に請求する男があるか。
黙って男の顔をたてていればいいだろ。」
はじめに支払い方法を決めておけばよかったと、深く深く反省した瑛瑠。これではチャールズに預けられたお財布の意味がない。
眉間に刻み込めるのではないかというほどしわの寄っていた瑛瑠であったが、はたと立ち止まる。
なるほど、チャールズはこれを予期していたのか。
「英人さん、ちょっと待ってください。」

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