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LOST MEMORIES ⅡCⅡⅩⅣ

「クッキーありがとう。」
寝る前、ふと思い出してチャールズに声をかける。例にならって、チャールズは眼鏡をかけて本を読んでいた。
「使うべき時が、ちゃんと来たでしょう?」
顔をあげてこちらを見るその碧は柔らかく優しい。
察してくれて良かったですと微笑む彼は、ついでに、さすがに持ち帰ってこられたらふたりの立ち居振舞いを疑ってしまいますからね,なんて辛辣な言葉も添えて寄越したのだが。
「でも、どうして?」
野暮な質問であることに気付くべきだった。お嬢さま,とたしなめるような声の調子に、困ったような呆れたような笑みを貼り付けるも、チャールズは答えてくれる。
「きっと払わせてくれないと思ったから。そう言って、渡されたことがあるんです。」
チャールズは続ける。
「こちら側としては相手に払わせる選択肢は存在しないのですが、さすがに当たり前のような顔をされてしまうのは癪でしょう?」
さも可笑しそうに言う。
経験があると見た。
「だから、それが嬉しかったんですよね。
まあ、彼がどう思ったかは図りかねますが、嫌だと受け取られることはないでしょう。」
思い起こすが、嫌悪感はなかったはずだ。
「10年の差って大きいのね……。」
チャールズの話を聞き、違いを分かりやすく突きつけられ、改めて感心する瑛瑠だった。

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  • チャールズ...。流石の用意周到。ぜーんぶお見通しなんだな...。もはや憧れるよ

  • 男心を分かってらっしゃる笑
    チャールズさん男の人だけど笑
    参考になります笑

    関係ないけど、私ね〜…
    現在進行形で片恋中です!!
    年下でしてね〜…
    見てたら可愛いんだ〜!
    死にそうな程、心臓が痛いの
    どうしよう…!!!

  • めめんとさん》
    レッツ注目。
    チャールズは自分がされたことを瑛瑠ちゃんに教えてあげただけだったのです(もちろん、クッキーもろもろの準備はしてくれましたが)。さて、誰にされたんでしょう。気になりますね、気にしましょう()
    百戦錬磨だったんだろうなあと私は思います(本編の内容に関係ない作者の戯れ言です)。

  • りんちゃん》
    そうよ、たいてい出掛けると男の人がもってくれるんです。たとえ男友達だとしても(経験上(笑))。非常に申し訳なくなるのですが、会計時に女の子が払うというのはそれはそれで…ねえ?笑
    だから、ちょっとしたお礼があるとお互いに折り合いがつくでしょう。見返りは求められなくとも、こちらのメンタル面で(笑)

    恋する女の子は本当に可愛らしい。
    恋愛掲示板に投稿するも良し。ポエム量産しちゃうのも良し。
    片恋さんは全力で応援します。

  • みーちゃん》
    そうよお…チャールズはいつだって魅力的。
    瑛瑠ちゃんを素敵なレディにするために奮闘しているんだから(作者の戯れ言です)。

    お姉さんとはまたなんと魅力的な。
    年下から憧れられるような、素敵なお姉さんになりたいものですね(uωu*)

    そうそう。恋に対する憧れのような。
    苦しんだり辛い思いをしたりすると、また恋愛に対する考え方も変わるかもしれないね。作風変わったりとか…。