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LOST MEMORIES ⅡCⅢⅩⅡ

そう言われた歌名は、小さく肩をすくめた。何で知ってんのなんて返すのだから、そうだのだろう。
やりとりを眺めていた瑛瑠だったが、望がこちらに顔を向けてくる。
「そういえば、ふたりの“わかっているところまでの話”って、具体的に何だったの?もしかして、被ったりしている?」
たしかに瑛瑠が図書室で調べていたことは地域についてであるが、英人と話していたことは違う。
英人が、首を横に振った。
「いや、このイニシエーション自体についてだ。」
望が、少し目を光らせた。
「へぇ……それで?」
「何らかのプロジェクトの一環、またはその延長じゃないかという結論に至った。まぁ、あくまで仮説だが。」
英人のその言葉に、相づちの意か納得の意かは図りかねたけれど、少し唸って顎に手をあて、考え込んでしまった。
「……そんな難しいこと話してたの?全然デートじゃないじゃん。」
歌名は信じられないようなものを見る目でそんなことを言った。

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