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This is the way.[Ahnest]6

帰り道。大通りはすっかり人気(ひとけ)をなくし、昼間の喧騒が嘘だったかのように静かだ。二三人の働き人が肩をすぼめて歩いている。アーネストは、下宿への道を歩きながら考える。

商業の街、ソルコム。国内最大の港を持つトルフレアの玄関。しかし、ケンティライムの人間が来ることは滅多にない。なぜか。それは、ソルコムとケンティライムを隔てる、アイネ・マウア山脈のためだ。
何千メタとある山を越えることは難しく、山脈の北端まで行かねば、歩いていっても厳しい。それゆえにソルコムの物価はケンティライムよりも断然安い。つくづく滞在先にケンティライムを選ばなくて良かった.........。
そんなことはどうだっていい。ケンティライム兵の話だ。彼らでさえあの山を越えることは難しいだろう。わざわざ僕のためだけに来たわけではなかろう。きっとソルコム港に何か用があったのだ。そのついでなのだ。

「ただいまー」
「おお、坊主。帰ったか」
「帰ったかー!」
家に帰ると、二人の元気な声がした。下宿させてもらっている家のご主人と二歳のカルクが既に帰っていたようだ。
「今日は早かったんですね、ライネンさん」
「ああ、今日はボスの機嫌がよくてな。週末ぐらい家族とゆっくり過ごせーって。エナはいないんだけどな」そういうとライネンはわっはっはと笑った。
ライネンは鉄道会社で働いている。夜遅くに帰ることが多いのだが、今日は珍しい。

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