球のようには転がらない
サイコロのような日々
6面を囲む正方形には
どうやら1しかないようで
にっちもさっちもいかなくなれど
一つ前にすら戻れない
一回休みもないなんて、と
独りごちてはまたススム
ふと立ち寄った自動販売機。周囲に明かりはなく、目の前のLEDライトだけが独りぽつんと立っている。
「コーヒーはいかが」
とその自販機が無愛想に話しかけてきた。
気付けば深々と冷え込んでいる。ホットを買うことにした。
「毎度あり」と無愛想な声。
がこんとでてきた缶コーヒーをその場で開けて、自販機によっかかってひとくち啜った。
幾許か経ったとき。缶はすでに冷えている。
なあお前は、と自販機に話しかけようとして
僕は何を話そうとしたのだろうか。
自販機はまるで始めからそうであったかのように夜に静かに佇んでいた。
イチのサイコロを振り続ける日々に帰ろうとして、後ろから、
「また買いに来い」
と無愛想な聞こえた気がした。
自販機がしゃべる訳ないので、きっと気のせいだろう。
静かな自販機は、あの場所で今も佇んでいるのだろう。缶コーヒーを温めつつ。