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LOST MEMORIES ⅡCⅢⅩⅦ

ほんの少しまばたきをして、お姉さんは頷いてくれた。
コーヒーを淹れながら瑛瑠の質問に答えてくれた彼女は、名を花というらしい。さらに、瑛瑠の思った通り26歳だった。
「ここは、花さんおひとりでまわしてらっしゃるんですか?」
「えぇ、そうよ。」
どうぞと差し出されたコーヒーは、豆の良い香りがして、思わず顔がほころぶようだった。
花はカウンター越しに、会話を進めてくれる。
「瑛瑠ちゃんは、学校帰りに寄ってくれたのかな。他には、何を聞きたい?」
新たな食器に手を伸ばす彼女は楽しげだ。
「私……花さんを、どこかでお見かけしたことがあるような気がするんです。気のせいでしょうか……。」
花の顔は本気で不思議がっている。それはそうだ。来店して2回目の客に、私のこと知りませんかだなんて。
思って、語尾も小さくなる。
「すみません、変なこと聞きました。」
謝ると、待って,と制された。
「わたしと瑛瑠ちゃんは会ったことはないと思う。でも、わたしの友だちに、瑛瑠ちゃんに似た子がいるわ。」

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