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LOST MEMORIES ⅡCⅣⅩ

「すみません、長居しすぎました。明後日、今度は友人を連れて、4人でお邪魔します。」
2日後は予定していた報告会。歌名と望にも、ぜひここへ来てもらいたいと、瑛瑠が提案した。
前回はどのタイミングだったか未だに謎であるお会計済まされ事件があったが、今回はひとりなのでしっかりレジの前に立つ。すると、レジ横の腕時計に目が留まる。ウォッチスタンドにおさまるそれは、明らかにメンズであった。
花は苦笑いする。
「瑛瑠ちゃんも気付いちゃったか。まぁ、目立つに越したことはないのかもしれないけどねぇ……。」
語尾を濁す彼女は、慣れた手つきでレジを打つ。
「職業柄、指輪は付けないようにしてるの。食器を傷付けちゃうし、何より衛生上アクセサリーは良くないでしょう?でも、基本わたしひとりでまわしているから、何もしないのは心配だと言われちゃってね。」
指輪、と言ったか。
「旦那さまですか?」
確かに、結婚していてもおかしくない年齢ではあるが、身近にいるチャールズがあんな感じなので、考えもしなかった。
「そうなの。たまにコーヒー飲みに来たりするから、そのうち主人と鉢合わせることもあるかもね。」
それも旦那さんの一種の牽制なのだろうなと思い至った瑛瑠は、愛されていますね と微笑んだ。

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