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冬季試験

10点
僕がもらったのはそれだけ
なん点満点のなんの点数か
それすらわからないまま
今日も加点に尽力する
減点を怖がり
原点を忘れ
満点を目指しひたすらに
空気と顔色を読んでうかがう
現在の点数がいくつなのか
わからないのが難点だ
こんな日常に意見できないでいる
自分の情けなさに涙腺が熱を帯び
俯いた先のアスファルトに斑点
雨でも降ったかと思ったが
空は相変わらずの濃い青で
唇の端にしょっぱさを覚えた
懐かしい味だった
夏らしい味だった
ぺトリコールの香りがしたので
わたしは家路を走り出した

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