君のそばに植えた苗木は
今はもう満開になり
薄桃色の花びらを散らしている
桜吹雪の中横たわる君は
百年ほど前に時計の長針に刺されて骸骨になった
白い指先に
鮮やかな緑のなめらかな萌芽
君の敵はとったさ
血塗れの手で割れたアナログ時計のガラスを砕く
君に触れられなくなった右手を
それでも私は愛だと言うから
まだ綺麗なはずの左手で肋をなぞる
手向けの青い花は、無垢な君によく似合うよ
笑ってくれないのかい?
君との永遠を望んだ私の
奇怪な機械じかけの心臓の鼓動
永遠を手にするための、永久機関
時計の音さえ聞きたくないと
今はもう朽ちた君の声が聞こえた気がした
桜吹雪が舞う
散りゆく桜が美しいと
欠けた月を愛でながら言った君の言葉が
私の心臓を
少しだけ軋ませた