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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅠ

瑛瑠は何も言えなかった。
本気で思っているはずがない。瑛瑠は、この関係をどうしようもなく好いていた。だからこそ、第三者が介入したように思ってしまって、形容できない気持ちになっていたのに。英人こそ、自分の想いに全く気付いてないくせに。
そう思うも、言葉を紡ぐことができない。自分がいかに酷い言葉を投げかけたか、自覚していたから。
英人の眼は、声は、怒りと共にどうしようもない哀しみの色を含んでいた。
言ってはいけないことを言ってしまったと、自分のしたことに涙が出てきたけれど、涙に逃げたくはなかった。今、自分には、泣く権利がない。
俯く瑛瑠に、英人はぽんぽんと2回頭をたたき、
「悪い、言い過ぎた。」
そう、言った。
ますます瑛瑠は、悪者で、惨めだ。
泣いてはいけないと思うのに、そういわれたら最後、熱くて苦しい涙が、次から次へと溢れてくるのを止めることができなかった。

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