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LOST MEMORIES ⅡCⅤⅩⅣ

だいぶ記憶から消えかけている夢を思い起こしてみると、ジュリアは口数の少ない人物だというイメージがあった。抑揚のない声も、感情の出ない表情も、彼女だ。
「お久しぶり、ですよね?」
するとジュリアは、少しだけ目を細める。
10年前は、助けていただき、ありがとうございました。
伝えなければいけなかったことだ。思わぬタイミングではあったけれど、忘れてはいなかった。
しかし、それを伝えると、ジュリアは目を伏せた。
「チャールズの馬鹿。」
開かれた口からは予想もしない言葉が飛び出す。
「あ、あの、」
「ごめん。」
瑛瑠に何か言う隙さえ与えず、そう一言残し、席を立ってしまった。
何か気に触ることでも言ってしまったかと不安になり英人を見るが、彼もわからないようで。
ふたりにだけはされたくなかった瑛瑠は、完全に困ってしまった。

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