真っ白な何もない
彷徨うにも彷徨えないような
立方体のなかに
座り込んでめそめそ泣いてる
君の肩に触れたかったんだ
取り残された僕の手に
昇華した君の残骸
君はどこにもいない
君はどこにもいない
嘘も
本当も
ぐちゃぐちゃに入り乱れた
本当は全部真っ黒だったんだ
真っ白な空間にぶちまけた闇
嘘じゃないけれど
本物でもなかったんだ
白と黒は無を争い合って
互いの輪郭が見えなくなるころに
気付くんだ
だから
嘘も本物もここにまぜこぜにしてしまおうぜ
ご参加ありがとうございます。
白と黒という無彩色に「立方体」や「昇華」という科学や数学の用語を組み合わせることで、無機質でもの寂しい印象を受けました。「君はどこにもいない」と二回繰り返したのは、そんな「昇華」してしまった「君」への、取り残された「僕」のやり場のない悲しみの表れなのかもしれません。
そして、2つ目の対は「嘘」と「本当」ですね。「君」のいた立方体の白に、「僕」がぶちまけた黒。嘘も本当もぐちゃぐちゃに入り乱れた黒であり、最早そのどちらでもない。互いの輪郭がぼやけるほどに争ってからそれが分かるくらいなら、ここでまぜこぜにしてしまおう。と、そういうことでしょうか。
はっきりと対比させた白、黒と、まぜこぜにしてしまった嘘、本当も、隠れた「対」になっていますね。