英人は、丁寧に玄関先まで瑛瑠を送り届けた。
「ジュリアに、少し話を聞いてみる。
気を悪くしないでくれ、悪気はないんだ。」
やはり、あれがいつもの彼女のようだ。瑛瑠は微笑み頷く。
「はい。何かわかったら教えてください。
送ってくださってありがとうございます。」
英人は困ったような笑みを向け、瑛瑠の頭にぽんと片手を置いた。
「目、ちゃんと冷やしてくれ。」
「?はい。」
お願いされた形の言い方に、瑛瑠は疑問を持つ。
冷やしてくれ、とは。
疑問を汲んだ英人は軽くため息をつく。
「瑛瑠を家に連れ込んだ上に泣かせただなんて、洒落にならない。
僕を殺しにくる狼男と透明人間がいるからな。」
ふたりの顔を思い浮かべ、瑛瑠は笑う。ふたりになら、いっそ冗談めかして話してしまう方が面白いかもしれない。
なんて思ったことは今は心に留めておこうと決め、意味深に微笑んだ。