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青い夏

誰もいないはずのプールサイド。今年初めて水を張った今日。僕はふらっとプールに向かった。

ぴちゃん、ぱちゃん、ぱしゃん。プールから音が聞こえた。不思議に思いながらプールサイドに出る。まず、目に飛び込んできたのは、青い硝子玉のように美しい空を反射する真新しい水。そして一人の少女。
「西城さん…。何やってるの…?」
なに聞いてんだ…。一人でため息をつく。見たら分かる。水に足を浸けてる。西城さんと話すことは今までほとんどなかった。感じた違和感は夏の空に似合わない白い肌だった。黒い長髪を揺らして振り返る。
「何って…。死のうと思って。」
冗談とも本気ともとれない表情で言い放った。
「死ぬ…?」
「冗談だよ。こんなとこで死のうと思って死ねないでしょう?本気にしちゃって、君、面白いね」
「西城さんって…変な人…?」
「ふははっ。そうかもね。梢でいいよ。西城さんって固い。この際仲良くなろうよ。」
「梢…は本当は死にたいと思う?」
「誰だって思うんじゃないかな。君もあるでしょう?意味もなく死にたくなるとき。」
「あるかも…しれない。」
「一回死んでみようか。」
「え。」
梢がプールに飛び込む。
「はっ?何して…。」
「ぷはぁー!!気持ちいいよ!!」
僕の手を梢が引っ張る。
「うわぁ⁉」
顔を上げると濡れた髪が気持ちいい。馬鹿だと思った。青すぎて笑っちゃいそうだった。というか実際笑ってた。
「どこが死んでるんだよ。」
「うじうじ考えてても仕方ないからそういう考えを殺した。」
「そっか」
梢がプールサイドに上がって鞄からバスタオルわ出す。
「何で持ってるんだよ…」
「え、逆に君は持ってないの?」
「当たり前だろ…。」
「貸すから、拗ねないの。」
「拗ねてない。」
梢はバスタオルを被ってフェンスの外を見て呟いた。
「私、生きるよ。君の生きる世界で、生きてみる。もー…君のせいだよ?私が死ねなかったのは。」
なぜか声が震えていた。

  • 初、小説です。
  • ご愛顧ください。感想、ご意見お待ちしてます。
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  • 良いと思います(通り一辺倒)一見コミカルなやり取りの中に見え隠れする二人の心情の変化が素晴らしい(個人の勝手な拡大解釈が含まれます)一つ一つの単語、というか言葉選びがすごく綺麗。結構不安がってたけど、案外やるじゃんか(誰だよコイツ)
    次回作も期待しております(_ _)

  • 分かる~
    たま~にどうしようもなく消えてしまいたくなる時…
    やっぱ俺だけじゃないんだな~
    それが分かっただけでもとても良い小説だと思いました。
    次回作楽しみです。

  • 読ませていただきました。表現が素敵だな。
    私の小説の参考にしよう。これからも読ませていただきます。次回作楽しみです。

  • 良いと思う、なんてめめんとさんのコピペみたいで嫌ね(笑)
    序盤の色や水の描写が、透明感あってきらきらしていると思いました。白い肌に黒髪のコントラストは最高だね、わかってらっしゃる。笑

    私もね、どうしようもなく消えたくなることがあった。でも、それで私は友人を1人亡くしているから。生死について、簡単に触れたくなくて、正直この作品を見た時にも、ざっと目を通して、そらしてしまったんです(ごめんね^^;)。
    でも、りんちゃんが可愛いレスなんか送ってくれるからっ…!笑
    ちゃんと読みました。そしたらね、読まない方が後悔する文章だなって。上手にまとめたね、りんちゃん。
    色描写のある文章は個人的に大好きなので、この作品自体私の好みでもあるな。今までの作品のなかでナンバーワンはれるくらいには好き(笑)