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LOST MEMORIES ⅢCⅢⅩⅦ

何を、言っているのだろう。
チャールズは、ほうと息を吐く。
「私は、そもそも預ける人がいけないと思うんです。どんな理由があれ、それだけ大切なら人に預けるべきではなかった。」
思わずチャールズの碧を見つめる。揺れるその碧は、曇り空の下の水たまりのような湿っぽさを含んでいた。
「しかしジュリアは、守りきれなかった人がいけないと思う性格なんです。預かるというのは、そういうことだから。」
少し寂しそうに微笑うチャールズは、優しすぎるんです,と付け加える。
「もちろん、どんな理由があろうと、人のものを傷つける人が悪いという人もいる。」
つまりは、そういうことです。
そう言うチャールズが、何かを言わんとしていることは伝わる。しかし、それがどう繋がるのか、掴めそうで掴めなくて。
険しい顔の瑛瑠を、お嬢さま,と優しい声が呼ぶ。
「ジュリアは人見知りなんです。今は少し、時間が必要なだけ。」
そう言って、久しぶりにくしゃっと頭を撫でられた瑛瑠は、黙ってチャールズの瞳を見つめていた。

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