格好つけた老いぼれ共
正論を装ったきれいごとを丁寧に並べ
足早にその場を去りだした
気休めの「独りじゃない」
根拠の無い「夢は叶う」
偽りの「愛してる」
いつか必ず幸せになれると
そいつの口先が馬鹿みたいに踊っていた
猿山の連中の胸にはどうやら響いたらしく
確かな疑問と曖昧な真実を俺だけが感じていた
うす汚れたモノに眼を瞑り
悪臭のするものには蓋を被せ
その場しのぎのペラペラの言葉を吐き去り
姿眩ます腐敗した大人達
それが一番の現実逃避だと自覚の無い実行犯と
まんまと騙されるカモの群れと
声をあげずただ黙って立ち尽くす目撃者の俺
現実はいくら着飾っても血だらけだ
どうしようもない事は俺だって解っていた
しかし成す術を知らない俺は
やはりきれいごとを吐いて消えるしかなく
仕方のない事だと何をそんなに笑って
消えて忘れ去るまで逃げ続ければ
楽しいままでいられるはずなんて馬鹿な事ぬかして
「独りじゃない」
「夢は叶う」
「愛してる」
そんなきれいごとで今日も俺は逃げ
ただ漠然と時間を捨てる事に呆れ果て
いつか心からそんな言葉を口にできる日を探している