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LOST MEMORIES ⅢCⅢⅩⅧ

「瑛瑠、おはよ。昨日の誤解はとけた?」
そういえば、歌名は瑛瑠を置き去りにして先に帰ってしまったため、昨日の一悶着を知らないのだ。
瑛瑠はにこにことする歌名を軽くにらむ。
「とけましたけど……なぜ私を置いて先に帰ってしまったんですか。」
あそこで歌名が話してくれていたら、状況は変わっていたかもしれないのに。
すると、歌名が瑛瑠を凝視する。すっと手が伸ばされ、親指が瑛瑠の瞼を撫でた。
「あのあと、泣いた?」
ぎょっとして、まだ腫れてます!?と問う瑛瑠に、笑って大丈夫と答える。
「あのあと私、ちょっと後悔したんだ。ふたりとも、重要なことほど口にしないから。」
やっぱり失敗だったみたい、ごめんね。
申し訳なさそうに苦笑する歌名。彼女にこの笑い方は似合わない。
歌名に気を遣ってもらいたくなくて。
「私は喧嘩をした経験がなかったので、むしろ良い機会でした。
だから、歌名は悪くないよ。」
何それ,と吹き出した彼女に、いつもの笑顔が戻る。
「何か嫌なことされてない?」
そう尋ねられた瑛瑠は、一瞬考え、にっこりと笑う。

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