待宵草の花明かり 月夜に照らされた鏡台向いて 紅差指を離した 唐紅に染めた唇 かたぶく三日月の輪郭をなぞった 遠くに揺らめいた不知火 あなたをひたすら待って ひとり虚無な私 また鏡向いて紅を差す 何度も 何度も なぞった唇と三日月 そのうちに 笹色に厚塗りしてしまった紅 あなたはまだ来ないのね 明け始めた夜は 空蝉に散った徒花