「あれが、オリオン座。ほら、真ん中にみっつ、星がならんでいるでしょう?」
そういってオリオン座をさした
あなたの細くてしろい指先を
今でもはっきりと覚えている。
オリオン座は砂時計の形に似ているみたいだねって
そういったら
あなたがそうねって
ほほえんだことも。
旅にでた先で
あなたが教えてくれた
あの星をみつけるたびに
なつかしいようなせつないような気持ちになる。
あれは
あなたに会った最後の夜だった。
あの星は
あなたがくれた最後の贈りものだった。
今あなたのところから
オリオン座はみえていますか?