金曜日、諸事情により書き込めず、そのまま3日たって12/14分を書くという…
てなわけで本編スタート↓
「くっ、そぉぉぉぉぉぉ~」
「一体どうした十文字」
隣の席の田母神鞠愛(たぼがみまりあ)が尋ねる。
「昨日さ、母さんにライブ行きたいって言ったんだけど…」
言ったけど、案の定ダメの一点張り。そりゃそうだよね。だっておれは今、受験生だし、ついでに志望校だってC判定だし…
「そりゃ無理だな」
グサッ。さすがは田母神、毒舌級長と陰で呼ばれるだけある。
「だってそもそも受験真っただ中なのよ? そんなワガママ、私でも却下する」
「そんなぁ~」
田母神のセリフにまたまた大ダメージ。今さっきから机に突っ伏してるけど、この調子だと顔を上げられそうにない。
でも。おれはまだあきらめようとは思ってない。まだ当日まで時間はある。だって約束したじゃないか、おれが自分から、またこの場所で会おうって…
そういうの破ったら、多分おれのプライドが腐る。
「…参太?」
「!…ヨシヒサ⁉」
思わず顔を上げると、親友のヨシヒサこと、神部夜士久が立っていた。
「え、な…」
「いや、花田が、田母神が呼んでるって―」
恐るべし田母神鞠愛。おれが見てないうちに、目で、女子に情報を伝えるとは…
「十文字が、ライブ行きたいとかどうとか」
「おい田母神!」
本人でもないのに状況説明しだした田母神に、おれは突っ込んだ。
「教室の端から、なんか参太が元気ないのは見えてたけど、何か言うようなことではないと思ってて」
「言うようでもないことって…」
「例えば、今年も非リアだからカワイイ女の子からクリスマスプレゼントもらえねぇ~、とか」
「んなわけあるか!」
「あ~、それ、私も思った~」
「ちょっ!田母神まで…」
おれは二人にあきれてしまった。おれってそんな風に見えてんのか。
「あ~でもさ、ライブ行きたいんなら、親にゴリ押しでもいいから頼めば? そのほうが参太らしいし」
「…!…ヨシヒサ」
「あ、チャイム。また今度な」
チャイムを聞くと、ヨシヒサは自席へ帰っていった。
田母神も自席に座った。
「…田母神、なんかサンキューな」
「フン、どういたしまして。ライブ行けるといいわね」
田母神、おれとヨシヒサの、仲を少し取り戻してくれてありがとう。