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LOST MEMORIES ⅢCⅥⅩⅢ

「みんなも薄々気付いていたとは思うが、このイニシエーションには裏があると踏んでいる。
通過儀礼として送られたことをまず確かめたいんだが。」
そう言ってこちらをみるので、先に口を開いたのは瑛瑠。
「私も、成人においての通過儀礼と言われました。人間界の視察と情報共有が主な目的。」
瑛瑠の言葉に、歌名と望も頷く。伝えられている大まかな内容は、4人とも同じようだ。
英人は引き継ぐ。
「視野を広げることや情報を扱うことについてが最終目的なら、疑問はない。これは僕の推察だが、僕らは将来的に上に立つべくして教育されてきたはずだ。もっともなイベントであるとも思っている。
本当に、それが目的なのであれば。」
英人の鋭く光る黒い瞳は、今日はいつもに増して研ぎ澄まされていて、目にハイライトがあるにも関わらず感情とは程遠い表情をしていた。
「疑わしい理由は主に2つ。1つは、期限がはっきりしていないこと。あくまで儀式の体なのに、ここまで弛いのはおかしい。絶対と言ってもいい。」
さらに続ける。
「もう1つは、僕が成人しているということ。既に成人の儀を終えている僕を人間界に送る理由は、」
「成人においての通過儀礼じゃないから。」
歌名が、神妙な顔で引き継いだ。

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