なぜだか今日は
君が隣にいるもんだから
飲めないのに無理して買った
ブラックな珈琲
寄る眉間を必死で抑えて
猫舌なんだ
なんて訊かれもしないことを言って
寒空の二番ホーム
いつもは黙りこんでる私が
やけにべらべら喋って
いつもは饒舌な君が
今日はいやに静かで
私は知ってるよ
君が思い詰めている原因も
私に話そうか迷ってる悩みも
友達なんて紹介しなければ良かった
各駅停車が滑り込む
もう行くね、と
一息に飲み干して立ち上がる
と、漸く君が顔をあげる
こぼれた涙は
熱さのせいだからって
また訊かれもしないことを言って
頬を拭った
ブラックな珈琲の缶を
私がじっと見つめてる
のを、君が見つめてる
のを、昨日の私が見つめてる